PRIVATE LESSON


「成績、上がったみてえだな」
「アリオス先生の教え方が上手だから」
 テストの総合成績を満足そうに見つめる、家庭教師の大学生アリオスに、アンジェリークは照れながら言った。
 今回のテストはアリオスが彼女の家庭教師になってから、初めてのもの。
 だから、彼女は、彼に褒めてもらいたくて、一生懸命頑張ったのだ。
 それはアリオスがアンジェリークの密かな想い人だったから。
 そもそも、この家庭教師も、医大生で国家試験も近い彼が、特別に引き受けてくれたものなのだ。従妹のレイチェルの頼みで。
「おまえさんは”アルカディア医大・看護科”志望だったな。この成績なら問題ない。よくやったな?」
 くしゃり。
 栗色の髪を撫でられると、子供扱いをされているようで、アンジェリークは胸がチクリと痛んだ。
 急に沈み込んだ彼女に、彼は怪訝そうに見つめる。
「どうした?」
 煙草を口に銜えながら話す彼は、大人の艶やかさを持った男性そのもので、彼女は嫌がおうでも、自分の子供っぽさを思い知らされる。

 アリオスは大人の男性で、綺麗な女の人もいっぱい知ってて・・・。

「アンジェ?」
 少し沈んだ風の彼女を、アリオスは覗き込んだ。
「どうした?」
 彼のテノールに、彼女ちらりと顔を見ると、恥かしそうに俯く。

 こんなこと言ってはダメなのは判ってるけど・…

 アンジェリークは、アリオスに向き直ると、意を決したように言った。
「ご褒美に…、キスして欲しい…」
 一瞬、唖然としたものの、次の瞬間には、彼は唇を歪めて、良くない微笑みを浮かべていた。
「そうだな・・・」
 アンジェリークを捕らえた異色の瞳には、不敵だが、憎らしいほど魅力的な笑みが含まれていて、彼女は溺れそうになる。
 繊細だが力強い指先に頬を撫でられて、アンジェリークは魔法にでもかかったかのように、うっとりとした。  彼が触れている場所だけに、間隔が集中する。
「今日の授業は、おまえの身体に色々教えてやるよ?」
 声にも、その眼差しにも魅了されて、アンジェリークは動くことすら出来ない。
「まずは・・・、キス・・・」
 情熱の篭った瞳で、潤んだ彼女の瞳を捕らえる。手で彼女の頬を優しく包み込む。
「目、閉じろよ?」
「うん・・・」
 言われるがままに瞳を閉じれば、彼の顔が近付く。吐息が唇にかかり、甘い戦慄が呼吸する。
少し冷たい唇が、軽く触れる。それだけで、アンジェリークは鼓動が高まるのを感じた。
「ん・・・っ!」
 しっとりと包み込むように唇を吸い上げられ、甘い感覚にアンジェリークは震えた。
 息を自力ですることが出来ない。
 彼の背中に腕を回して、息が出来ないこと伝えると、ようやく唇を離してくれた。
 その途端、大きな溜め息とともに、彼女は崩れ落ちる。
「おい! 鼻で息をしろ!」
 倒れかけた彼女を受け止めながら、アリオスは呆れたように言った。
「だって〜!!」
 半分べそをかいている彼女が可愛くて、彼はからかうようにクッと喉を鳴らしながら笑う。
「もっとよくしてやるよ」
「あ・・・」
 今度はもう少し深く重ねられる。
 強く、腫れ上がるまで唇を吸われアンジェリークの感覚が麻痺してくる。舌で唇を突つかれ、舐め上げられると、かすかに彼女の唇が開いた。
 僅かに出来た隙間から、彼の舌が歯列を割って侵入してきた。
 口腔内をくまなく愛撫を受け、舌が逃げれば追いかけてくる。貪られるような激しい舌の動きに、彼女の頭は白くなった。徐々に力が抜けてきて、彼にすがりつく。
「アリオス・・・」
 唇が離され、アンジェリークはうっとりと濡れた瞳で彼を見た。
「アンジェ・・・」
 くぐもった声で名前を囁くと、彼はそのまま彼女の白い首筋に唇を落とす。
「アリオス、やだ、キスだけって・・・」
 抗議はしているものの、彼女の声は甘く艶やかだ。
「ダメだ。おまえは俺に火をつけたんだ。責任は取ってもらうぜ?」
「ああん!」
 唇で強く首筋を吸い上げられて、彼女は頭をのけぞらせる。
 雪のように白い肌には、紅い所有の証が刻まれてゆく。
「アリオス…!!」
「アンジェ…」
 フッと笑ってアリオスはアンジェリークを抱き上げると、そのままベットへと運ぶ。
「勉強だ、アンジェ?」
「アリオス…」
 ベットに寝かされ、彼女は艶やかに濡れた眼差しで彼を見る。
 アリオスはシャツをわざと肌蹴させ、裸の胸を見せると、彼女の目の前に持ってきた。
 鍛えられた肢体。
 無駄なものが一切ない胸。
 あまりにも綺麗で、アンジェリークは思わず手を伸ばした。
「触れたいか?」
 艶やかに囁かれて、彼女はコクリと頷く。
「やってみろよ?」
 挑むように言われれば、止められなくて、彼女は、彼の胸に両手をはわせた。
 すべすべとした感触がとても心地が良い。
 気持ちよくて、何度も、彼の広い胸に手を滑らせれば、息遣いが僅かに早くなっているのが判る。
「アンジェ…」
 鼓動が高まるのを感じながら、彼は彼女の手をそっと掴んで、止めさせた。
「アリオス?」
「今度はおまえの番だ」
「あ…」
「アンジェッ!!」
「いやんっ!!」
 再びアリオスに押し倒され、彼女は先ほどよりもさらに、胸の鼓動が早くなるのを感じる。
「ああっっ!!!」
 するリ。
 ワンピースのボタンが外されたかと思うと、衣擦れの音がした。
 背中にはひんやりとしたシーツの感触が広がって、否が応でも意識してしまう。
 彼の指先がすっと身体を降りてゆく。
「ああっ!」
 華奢な体がのけぞり、白い胸の枷が外される。
「綺麗だな…。おまえはこんなのだと思ってたぜ?」
「ヤダ…」
 枷を外されて自由になったそれは、彼に触れて欲しいとばかりにフルりと揺れ、誘っているかのようだ。
 誘われるかのように、彼の唇が近づいてくる。
「教えてやるぜ?」
「ああっ!!」
 そのまま、ぴんく色の頂を口に含まれ、強く吸われたり、弱く吸われたりして、彼女は全身を小刻みに震わせた。
「ああ…」
「感度は満点だぜ? アンジェ」
「はあん」
 吸い上げられていない胸を、彼は愛しげに持ち上げたり、揺さぶったり、時には強い刺激を与えたりする。
 唇と舌での絶え間ない刺激に、彼女はしどけなく乱れてしまう。
「ああ、うんん!!!」
 体の最奥が潤んでくる。
 けれども、彼に与えられている愛撫に、溺れている彼女は、体が彼を受け入れたくて、溶け出したのに気がつかなくて…。
 華奢な身体を彼に抱きしめられながら、その唇は彼女の白い肌を這い回る。
 紅い所有の痕がたくさん白い肌に舞い散ってゆく。

 私…。
 アリオスのものになるんだ…

 突然、彼の体が離れ、彼女は切なげに手を伸ばした。
「待ってろ?」
「うん」
 彼を待っていると、ベルトのバックルが外れ、ジーンズを脱ぐ衣擦れの音が響き渡る。
 それが彼女の欲望を覆って離さない。
「初めてのおまえにこんなことをさせるのは酷だが・…、レッスンの一環だ…」
 艶やかな声が降りてくる。
「え!?」
 それと同時に、彼の熱いものが目の前に差し出された。
「しゃぶれよ?」
「な・・・」
 その瞬間、彼女は真っ赤になって、泣きそうな表情をする。
「アリオス〜」
「嫌か? 無理強いはしねえが」
 彼の有無言わせぬ眼差しで見つめられると、決してNOとはいえない。
「判った…、やるわ…」
「サンキュ」
 アンジェリークは自分の体を起こして、おずおずと彼の暑いものに触れる。
 そして、その部分を、愛しげにキスし始めた。
「よし…、そのまま口の中に入れてみろよ?」
 彼女は頷いて、そのまま口の中に含んだ。
「吸ってみろ」
 言われるまま、彼を吸い上げる。
 すると、アリオスの鼓動も早くなってゆくのが判る。
 それがアンジェリークには嬉しくて。
「アンジェ…!!!」
 アリオスはその快楽に、身体を溺れさせる。
 今まで感じたことのない快感が、彼の身体を駆け巡る。
「アンジェ…、舌を使ってくれ…」
 そのまま舌を使えば、彼の体が小刻みに震えだした。

 アリオス…。
 感じてくれてるんだ…。嬉しい…

「よし、サンキュ! よくやった」
 彼は彼女の口から熱いものを抜き取ると、そのまま彼女の身体に覆い被さり、感謝のキスの雨を降らせる。
「ああっ!!」
 全身を口付けた跡、最後は唇にたっぷり深い物を与えた。
「アンジェ…」
 彼はそのまま唇下へと下ろして、いきなり彼女の太ももに手をかける。
「きゃあ!!」
 足を閉じようとしてじたばたしても、彼の力は強すぎて…。
「さっきののお礼だ・・。おまえのは最高だぜ?」
「いやああっ!!」
 そのまま足を大きく開かされて、彼はその最奥のものを見つめる。
 そこはとても熱くて、すでに蜜を滴らせて、濡れて光っている。
「綺麗だな」
「見ないでっ!!」
「いい眺めだ」
 指先でそこを押し広げられ、彼はそのままその場所に顔を埋めた。
「はああっ!! いやっ!!」
 彼が舌先で蜜を舐め取っただけで、全身が粟立つ。
 痺れるような震えを感じて、頭が真っ白になっていった。
「はあっ!!」
 何度も身体を跳ね上げさせ、彼女は快楽にすすり泣く。
 彼が唇を動かす度に、蜜は溢れて流れ出し、舐めても、舐めても追いつかない。
「ああ、いいいああ!!」
 シーツを何度も蹴り上げ、悶えるアンジェリーク。
 そこにいるのはただの”女”で。
「アリオス!!」
部屋には、激しい二人の息遣いと、淫らな水尾とだけが響き渡っている。
「やああっ!!」
 中心の宝石を軽く噛まれた瞬間、彼女は体に電流が走り、そのまま崩れ落ちてしまった。


 くちゅり---
 水音出来がつくと、彼の指が胎内に入ろうとしているところだった。
「ああっ!!!!」
 指を入れられ、中をかき回され、体が狂ったようになる。
 無意識に腰が振られて、身体は彼を欲している。
「アリオス!! アリオス!!!」
 快楽に震える彼女に、彼は再び足を広げさせた。
「気持ちよくなるぜ?」
「ああっ!! 痛!!!!!」
 彼女の熱く高まった場所に、同じように熱くなった彼の分身を沈み込ませた。
 その瞬間。あまり者痛みに、アンジェリークは大きな悲鳴を上げた。
「いいやああ!!」
「アンジェ!」
 あまりの痛みに顔をしかめる彼女に、アリオスは宥めるように、顔中にキスを送る。
 優しく背中を撫でられて、力が抜ける。
「ああっ!!」
 力が抜けるたびに、彼は腰を進め、彼女の胎内を侵略していった。
アリオスの背中にはアンジェリークの爪あとが刻まれる。
 どれだけ強い衝撃かの証として。
「いやああ!!」
 何度も同じことを繰り返し、とうとう彼は彼女の奥まで達した。
 少し腰を動かせば、徐々に彼女の苦しげな表情は緩和されて。
 変わりに、甘い旋律が身体を駆け巡る。
「ありおす・・・、あんっ!!」
「ゆっくり腰を揺らせてみろ・…、そうだ…」
 腰を揺らしながら、彼を激しく無意識に締め付ける彼女に、アリオスの快楽は頂点に達する。
 動くたびに響く淫らな水音。
 激しく揺れるベット。
 動かれるたびに、彼女の意識も彼の意識もぐちゃぐちゃになる。
「あああああっ!!」
 何度も締め付け、絡めながら、彼の激しい突き上げに、彼女は答える。
 あたりがかすみ始める。
 もう、死んでしまいそうなほどの快感が全身を駆け抜けて・…。
「ああああああっ!! アリオス!!!」
「アンジェ!!」
 彼の力強い熱が放たれた瞬間、世界は静止し、天国に包まれた----

                     -----------------------------------

「アンジェ…」
 ようやく目覚めたアンジェリークは、アリオスに背中から抱きしめられていた。
「アリオス」
 彼が耳たぶを甘く噛めば、先ほどの甘い感覚が蘇ってくる。
「おまえは…、満点だったぜ?」
「アリオス…」
 突然、身体を仰向けにされて、覆い被さられて、彼女は甘い悲鳴をあげる。
「きゃあ、ねえ、アリオス!!」
「満点だったから”復讐”な?」
「きゃあっ!!」

 今夜は旅行に言ったアンジェリークの両親は帰っては来ない。
 それをいいことに、彼女に何度も”復讐”を求めるアリオスであった----  

コメント・…4000番のキリ番を踏まれた雫様のリクエストで「家庭教師のアリオスト高校生のアンジェ」です。
こんな家庭教師…、いらない・…。